隔離栽培や高設栽培に最適!
タンクミックス®シリーズ
隔離栽培や高設栽培に最適!
タンクミックス®シリーズ
2000年頃、土壌消毒剤の臭化メチル全廃(2005年に全廃)が決定し、その対応が急がれており、隔離栽培への関心が全国的に高まっていました。また、イチゴの高設栽培も各県独自システムが開発されて普及が進みつつありました。
当時の隔離栽培およびイチゴの高設栽培は、培地に土壌を使用するものもあったため、OATハウス1号、2号を用いた養液栽培用の肥料のほかに、土耕栽培用の肥料(ロングタイプ元肥や液肥)も使われていました。
隔離栽培や高設栽培に適した肥料を当社研究所で検討したところ、窒素形態として硝酸態窒素が主体の養液栽培用の肥料が優れていることが確認されました。
しかしながら、養液栽培用肥料は、原液タンクを2つ使い、液肥ポンプも2台必要で(2原液タイプ)、システムの導入コストが高いというデメリットがありました。
その問題を解決するために肥料原液を1液にすることができないかと種々の検討を重ねた結果、粉体の肥料(タンクミックスA)と液体の肥料(タンクミックスB)の2アイテムに分けることで製剤の安定性を確保し、養液栽培肥料とほぼ同等の処方の肥料が完成しました。
そのころ、香川県では県独自の隔離栽培システム「ゆうらくシステム(ハンモック方式)」が開発され、トマトやミニトマトで普及していました(肥料は当社の養液土耕肥料を使用していました)。
また、イチゴの養液栽培システムとして2原液タイプの「らくちんシステム(ピートバッグ方式)」も普及していました。
新たに開発した1原液タイプの隔離床用肥料(タンクミックスA&B)を香川県農業試験場にて隔離床栽培のトマトとピートバッグ方式のイチゴで肥料比較試験を実施したところ、慣行の肥料と比較して同等以上の品質収量を得られたため、香川県内で「香川ゆうらく肥料」として販売されることとなりました。
その後、香川県以外の地域では「タンクミックスA&B」の名称で発売されました。
ピートバッグ方式で栽培したイチゴの収量に及ぼす肥料の影響(2004年度)
試験区 | 秀品 | 優品 | 合計 | 平均果重 (g) |
秀品率 (%) |
|||
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個数 (百個) |
重量 (kg) |
個数 (百個) |
重量 (kg) |
個数 (百個) |
重量 (kg) |
|||
1原液タイプ | 201 | 360.4 | 68 | 127.0 | 269 | 487.4 | 18.6 | 76.5 |
慣行肥料 | 192 | 350.5 | 73 | 139.8 | 265 | 490.3 | 19.0 | 72.7 |
注)品種:女峰、ピートバッグ方式、定植:9月13日、収穫:11月上旬〜6月上旬
1原液タイプ:香川ゆうらく肥料、慣行肥料:香川ハウス肥料1号+2号、データはa当たり
タンクミックスA&Bの発売以来、イチゴの高設栽培にもこの肥料を使用していましたが、低ECで給液管理するイチゴの場合、タンクミックスA&Bに含まれる微量要素量では不足することがありました。そのため、当時は鉄欠乏などの予防のためタンクミックスA&B原液にOATハウス5号(養液栽培の複合微量要素肥料)の添加をお薦めしていました。
しかしながら、高設栽培の急激な普及もあり、イチゴ専用肥料のニーズが高まったため、タンクミックスA&Bよりも微量要素とりん酸を強化したタンクミックスFを2006年に発売しました。
また、タンクミックスA&Bを夏季に使用すると、特にトマトで尻腐れ果や加里欠乏などアンモニア態窒素に起因する問題が表面化してきました。
そこでアンモニア態窒素を除いたタンクミックスSAを処方検討・試作して、2020年夏に国内7か所で現地試験を実施したところ、これらの症状の改善が認められたため、2021年3月に夏用肥料としてタンクミックスSAを発売しました。